ゲームストップの狂乱の果て

ニューヨーク取引所

マーケットが過剰な時に賢明な投資家が行うこと

米国東部時間1月26日午前6時半前、テスラ (TSLA)のイーロン・マスクCEOが「Etsy良いね」とツイートした。

まさにそれだけで投資家たちは熱狂した。

エッツィー(ETSY)は、手芸やジュエリー、装飾品などを提供する取引サイトである。 エッツィー(ETSY)の株価は、この日14ドル以上急騰したのだ。2020年中には300%以上の驚異的な急騰を遂げている。

数週間前、イーロン・マスクCEOはフォロワーらに対し「Signalを使おう」とツイートした。Signalというのは、暗号化メッセージアプリのことである。またもや「Signalを使おう」と述べただけのツイートだ。

しかし、投資家達はその後、シグナルアドバンス(SIGL:OTC銘柄)という、完全に無関係の公開企業の株を買い占めた。 SIGLの株価は、あっという間にわずか60セントから70ドル以上にまで急騰した。

エキセントリックなテクノロジー企業のCEOのツイートで高騰した銘柄は、この2つだけに止まらない。

個人投資家やデイトレーダーは、オンライン掲示板「Reddit」の人気ページ「wallstreetbets」など様々なオンラインの場で暴れまわっている。

これはまさに、1990年代後半に起きた最悪のインターネットバブル時に見たものと同じ景色が広がっている。

そして、それは投資家全員、そして特に経験を積んだ「セーフマネー」投資家にとっては非常に重要な意味合いを持つ。

例えば、ビデオゲーム小売チェーンのゲームストップ(GME)は、業績が低迷しているにも関わらず、25日に一時144%以上高騰した。 今では1月中旬から株価が4倍以上になっている。

なぜだろうか? なぜなら、それに関わっているのは、数百ドル程度の投資を行うデイトレーダーだけではないからである。

株やオプションが大量に購入され、幅広い銘柄に影響している状態が現在、見られている。 プロの投資家とヘッジファンドらは、株が下落することを見越して「空売り」しているのだ。株の空売りとは、株を借りて売ることだ。価格が下がって、後から買い戻すことを期待して空売りを行う。

逆に株が上昇した場合は、手のひら返しで損切りをし、法外な値段で買い戻さなければならなくなる。そのプロセスは、 「ショートスクイズ」と呼ばれ、このGMEのグラフに示されているような異常な動きによって促進される。

さらに、今週は狂った買いの勢いが、他の多くの無関係な銘柄にまで広がった。クロロックス(CLX)もその一例となった。

同社はセーフマネーレポート中の銘柄で、私が長期でおすすめしている銘柄の一つだ。 私はこの企業の事業が好きだし、気前良く配当を支払ってきた実績もある。 そしてワイス・レーティングでも魅力的な格付けを得てきた実績がある点も気に入っている。

しかも、同社は260億ドル近くの時価総額を誇っており、安易に市場操作されるような銘柄ではない。熱狂的なデイトレーダーの関心を集めるような、最新の「SPAC(特別買収目的会社)」の一つでもないし、IPOしたばかりのテクノロジー企業でもない。 ましてや電気自動車や再生可能エネルギーなど、「次の大物」を求めて何十億もの投資家の資金を集めてきた、他の超大型産業とも関係ない。

しかし、25日に、CLX株価は一気に急騰し続けた。 特段ニュースがあった訳ではない。 他の銘柄でも同様の状況が見られた。

どうか誤解の無いようにしていただきたいが、私は、購読者の方が証券口座アプリを開いたときに、大きな利益を見ることができていたら嬉しいと思っている。

ただ、CLXの値動きは、GME、ETSY、SIGLのような無数の他の銘柄と同じで、かつ過去のインターネットバブルと似た値動きである。(もはや当時の市場はバブルというより狂乱状態だったが。)

当時の短期投資家らは、ヤフーファイナンスやレイジングブルといった投資掲示板で共有されたヒントを見て、話題の銘柄に次々に飛びついた。今、アマチュアの投資家たちは、同じことをしている。業績が伴っていないEコマース(電子商取引)銘柄が、数日や数時間のうちに数百ポイントも急騰していたのだ。

ネットバブル時は、E-TradeやDatek Online、Schwabなどの証券会社プラットフォームを使っている動きの速いトレーダーたちが、しばらくの間、マーケットを支配していた。今は動きの早いトレーダーたちがRobinhoodなどのプラットフォームを使いながら市場を動かしている。

では、投資家のあなたに、これはどのような意味合いを持つだろうか?

私はこれまで長い間「セーフマネー」のアプローチを提唱してきた。この戦略では、クオリティーも格付けも利回りも高い、強気の取引パターンを示す銘柄にターゲットを絞る、選りすぐりの投資を推奨している。このアプローチはこれまでに幾度も購読者に恩恵をもたらしてきた。

しかし、現在のマーケット環境は、強気相場がユーフォリア状態に変化し始めた時に見られる、狂乱的でリスクが高い状態だ。何でもかんでも売るべきと言っているのでも、抜け目なく下落を狙う空売りトレーダーの真似をするべきと言っているのでもない。

むしろ、「セーフマネー」の戦略でポートフォリオを構築し、他の資産で「保険」となるポジションを持つべきと言える。 「保険」となる他の資産には、金や銀、貴金属鉱業などを検討しよう。

そしてそのアプローチにしっかり従おう。 インターネットバブル時代のような質の良くない銘柄は無視しよう

後先考えずに行動するのではなく、長期的にあなたにとって良い結果が得られるよう事態を調整できる可能性がある。


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