ネットフリックスの強み
ネットフリックスが勝ち続ける理由
投資家が犯している最大のミスの一つは、何でもかんでもゼロサムゲームとしてしまうことだ。実例として、ウォルト・ディズニー(DIS)のストリーミング競争への参入が、ネットフリックス(NFLX)の終焉だと騒ぎ立てられたことがある。
スマートフォンであろうが、定額制のビデオ・オン・デマンドであろうが、1つのマーケットからは、1つの企業にしかお金が流れないという考えにより、多くの投資家は、「それが間違った認識である」証拠があるにもかかわらず、このような愚かな賭けを続けている。
ネットフリックスは、19日の通常取引終了後、2020年10−12月期の売上高が過去最高の66億ドルに達したことを明らかにした。株価は、20日の通常取引で15%急騰して史上最高値を更新した。カリフォルニア州ロスガトスを拠点とするメディアストリーマーの同社は、ベスト・オブ・ブリードである。
しかしながら投資家たちは毎四半期ごとに間違いを犯している。
ネットフリックスが成し遂げたことは簡単なことではない。同社はインターネットトラフィックの13%を占める信頼性の高いプラットフォームを構築した。課金システムは、世界中のさまざまな通貨で支払いを処理し、2017年にわずか1億人だった有料加入者を2億400万人まで着実に増やし続けた。さらにすべてのコンテンツを国際的に成長・制作し続けている。
ディズニーは高いブランド力と有能な経営者がいる素晴らしいフランチャイズである。メジャーリーグの放送局を運営していたBAMTechを買収することで、さらに先を見越した計画を立てていた非常に手ごわい競争相手だが、ネットフリックスが確立した優位性を傷つけることはないだろう。
それはネットフリックスが、2020年に値上げをしたにもかかわらず今年の10−12月期に850万人の新規加入者を獲得できたことから確認できる。FactSetによると、この数字はコンセンサス予想を200万人上回った。
値上げは、同社の通年でのキャッシュフロー黒字化に貢献した。リード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は株主への業績報告の中で、バランスシートが改善されれば、自社株買いという形で現金を株主に還元するという決定につながる可能性があると述べた。
ネットフリックスは、ヘイスティングス氏が2009年に所有していた通販DVDレンタルビジネスモデルからストリーミングへの移行を率先して以来、この10年間で株価は目を見張るような1万2000%の上昇を成し遂げた超大型株である。
会社のキャッシュフローをプラスにしたことは大きな成果である。これは長年、ネットフリックスが「巨額の番組制作費を考慮に入れても損失を出す」という論点を消し去ることになる。
ネットフリックスは現在、2011年以降に借りた150億ドルを返済する手段を持っている。
皮肉なことに、トレーダーがネットフリックスの競合になると予想するいくつかの企業にとってはキャッシュバーンが大きな問題となっている。AT&T(T)のHBO Max、NBCユニバーサルのPeacock、ディスカバリー(DISCA)のDiscovery+ 、アップル(AAPL)のApple TV+といった競合SVOD企業のサービスが、どのくらい生き残れるかは予想できない。
遅かれ早かれ、それらは別のモデルに屈する可能性が高いと見ており、ネットフリックスの結果は、規模と競争上の優位性について投資家への教訓である。