産業と金融のデジタルトランスフォーメーションは 始まったばかり
テクノロジー株が、再び息を吹き返してきている。
ナスダック総合株価指数は、3月9日に464ポイント急騰して1万3073となった。
上昇率は、3.7%と1日の上昇率としては4カ月ぶりの大きさとなり、直近の負の連鎖を断ち切る分岐点となった。
その後のナスダック総合株価指数は、戻り歩調を強める展開となり、4月半ばには1万4000に迫ろうとしている。
確かに投資資金は、最大の収益率が期待できる景気循環型のセクターに供給されている。これは新しいことでも、小難しい経済学に基づいているものでもないが、いくつかの注意点がある。
私の調査によると、デジタル・トランス・フォーメーションのファシリテーターとなったテクノロジービジネスは、今後も10%をはるかに超える収益成長を続けると考えられる。
一方で、景気が回復しても、すべての景気循環型ビジネスが好調に推移するわけではない。
それは、変革的なデジタル・イノベーションが循環型経済の多くの部分を破壊しているからだ。
現在では、スクエア(SQ) やペイパル(PYPL) などの金融テクノロジー企業が、スマートフォンアプリ内の通貨のシフトをユビキタスで無料にした場合、銀行が送金手数料を請求することは困難となった。
投資家は、マスターカード(MA) やビザ(V) のような永続的な競争優位性を備えた金融セクターの企業、または社内のデジタル・トランス・フォーメーションを遂げている企業を探すほうがよいだろう。
ゴールドマン・サックス・グループ(GS) とJPモルガン・チェース(JPM) の幹部たちは、このセクターのデジタル化競争において、ライバルよりもはるかに先を行っている。
ほんの数例を挙げると、フォード・モーター・カンパニー(F)やゼネラルモーターズ(GM)、キャタピラー(CAT)、ディア・アンド・カンパニー(DE) の最高幹部たちについても同じことが言える。
まもなくデトロイトには、電気自動車会社に変貌を遂げようとしてるゼネラルモーターズの本拠地ができるとは信じがたいかもしれないが、大手自動車会社の自律走行車も、期待が高まる投資の一つとなっている。
これは、一般の投資家がテック株を放棄すべきという意味ではない。このプロセスはゼロサムではないのだ。
経済が強くなるということは、変革的なデジタルツールへの支出がさらに増えることを意味し、ファシリテーターはこれからもどんどん成長していくはずである。
大きな市場の下落とその後の上昇は、実際に何が起こっているのかを物語っている。
2020年にテック株のアウトパフォーマンスにつながったデジタル・トランス・フォーメーションのテーマは、単に他のセクターにシフトしていることを十分に理解し投資のチャンスを掴むことが重要である。